2006年3月29日 水曜日

アニメバブルという幻想 その2 はてなブックマーク はてなブックマーク登録数

[分野: オタク時事] 文:bono (投稿日:2006-03-29)

新番組の季節になるたびに、「アニメバブルだ」と言われる。確かに作品本数は尋常でないし、気持ちは分かるのだけど、僕は「アニメバブル」なんて無いと思う。勿論、無いものは弾けない。

では、アニメバブルとは何か。経験則(「急成長=バブル=弾ける」)と、ノスタルジー(「昔のアニメは良かった」)が生んだ虚構。「バブルが弾けさえすれば、古き良き時代のアニメが帰ってくる」という、根拠のない幻想です。アニメを取り巻く現状を「悪」に分類し、いつか覆ってほしいとの希望を込めて「バブル」という言葉が与えられているだけで、現象としては全く別のものだと思う。
「そろそろバブルが弾けるぞ」と言われ始めて何年経つか忘れたけど、最近では「早く弾けてくれないかなぁ…」という願望すら読み取れる。宗教的な「最終戦争の到来を信じて、“今年こそは”と苦行に耐える人」とあんまり変わらない(笑)。素直に見れば、産業の急成長期なんじゃないの?と思うのです。そして、進んだ針はもう戻らない。

例えば、本屋の新刊コーナーに積まれた漫画の山を見て、「とても全部読み切れない。誰が読むのか想像もつかない作品が沢山ある。これでは供給過剰だ、漫画バブルだ!」…と思う人はあまり居ないと思う。「漫画産業ってそういうものだよね」という認識があるから。でも、初めからそうだった訳はない。で、単純に、アニメも同じ道を辿っているんじゃないかなと。

あと、バブル崩壊幻想は、アニメ業界の問題点から目を反らす方便としても最適ですね。

  • 「もうすぐバブルが弾けるから」→慌てて新人を雇うのは辞めておこう
  • 「もうすぐバブルが弾けるから」→人不足で正直きついけど、がんばって乗り切ろう
  • 「もうすぐバブルが弾けるから」→無茶な仕事だけど、無理やりにでも押し込んで今のうちに稼いでおこう
  • 「もうすぐバブルが弾けるから」→多少安くても、将来のために恩を売っておこう
  • 「もうすぐバブルが弾けるから」→大きな態度で賃上げ要求なんて、怖くて出来ません
  • 「もうすぐバブルが弾けるから」→長期的な計画が立てられません

そして、口をつく言葉は「早くバブル弾けないかなぁ…」。まぁそんな単純な会社は無いと思いますが(笑)。作り手がインタビューで「アニメバブル云々」言っているのを読むと、少し心配になる。この人は、その言葉を根拠に何年間問題を先送りにしてきたんだろうかと。アニメーターが足りない、絶対に破綻すると嘆くだけの人もいれば、現実に対処するために韓国に粉をかけたり(ガイナックス)、フランスに粉をかけたりする(ハルフィルム)頭の良い人もいるわけで。

だいたい、バブルだと言われる割に儲からないって、君たちは太平洋戦争かと(<新聞は連戦連勝と報じるのに、何故か生活が貧しくなっていくという)。どこかにウソがあるんじゃないかなと、僕は思う。

この記事のURL:http://xn--owt429bnip.net/2006/03/bubble2.php

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