2007年4月15日 日曜日

『らき☆すた』#1 はてなブックマーク はてなブックマーク登録数

[分野: 演出/山本寛] 文:bono (投稿日:2007-04-15)
らき☆すた 1 限定版 らき☆すた 1 限定版
美水かがみ 山本寛 平野綾


Amazonで詳しく見る by G-Tools

『らき☆すた』#1
脚本:待田堂子
絵コンテ・演出:山本寛
作画監督:堀口悠紀子

<鑑賞の足がかり>
 イマジナリーラインの話ばかりで申し訳ないのですが、入り口として分かり易いのでそこから。
『らき☆すた』#1 (毛色の異なる冒頭を除き、)ひときわ目立ったカメラの動きが観られるのは一箇所、左図の場面(*1)。初めて仕掛けられる過剰な演出(イマジナリーライン越え+逆光)から、「演出家は、どうもここが第1話の肝だと考えているようだ」と想像できる。
 では、この場面の何が重要なのか?「主人公の価値観が、初めてクラスメートに通じた瞬間」が描かれたこと、これ以外に無いでしょう。主人公が、自分と同じ「チョココロネの見方」をする人を見つけた場面なんですね(*2)。

 「何だ、そんなことか」と呆れる無かれ。これは、それまで数十分間に渡って描かれてきた、会話劇の正体が明かされる瞬間でもあるのです。第1話の、セリフの絶えない会話の応酬において、主人公の気持ち(価値観)がただの一度も他人に共有されていなかったということに…。

 例えば、『げんしけん』のサークルメンバーのように、仲間全員が同じ方向性の価値観を持ち、「あ、分かる分かる、こうだよね」「そうだよね」と同意を積み重ねていくタイプの会話ではなかった、ということです。描かれたのは、それぞれが違うスタンスに立ち、常に結論がすれ違いながら続いていく会話。「会話の間をもたせる」という点で、どちらがより困難であるかを想像すると、脚本・演出の見所が分かるだろう。

*1…言い換えれば、これ以外の場面は抑えられている。対比を強めるために。
*2…直後の「じゃあどっちから食べる?」の声の演技も素晴らしい。

<テーマ>
 誰にも理解されない価値観が、初めて通じる相手を見つける第1話。導入は、『涼宮ハルヒの憂鬱』と共通している。違いは、『らき☆すた』の主人公が、その勘違いにすぐ気付くところ。
 『涼宮ハルヒの憂鬱』を経たスタッフによる、テーマの前進・深化に他ならないのだけど、この場面の残酷さはちょっと泣ける。(でも支持する。優秀な演出家は、冷酷でなければならない。でも泣ける…)

<構図>
 これを「見所」と喜ぶか、「構造的欠陥」と怒るかは鑑賞スタンスに寄るが、『らき☆すた』は、「かなり特殊な構図」を取らざるを得ない事情を抱えている。主人公(青い髪の人)の背が低すぎるからだ。
『らき☆すた』#1 左図は、三人で立ち話する場面。こんな変なレイアウト、なかなか無いよ(笑)。ギャグアニメだから、笑える絵、笑えるセリフがある訳だけど、「構図」で笑わされたのは久しぶり。

 普通に会話させようと思ったら、座らせるしかない。あるいは、立たせても変則的な構図に偏ってしまう(斜めに並ぶパターンなど)。結果、どうしても見た目が単調になる。原作はこの印象が強い。
 こういった事態を避けるための暗黙の了解として、キャラクターの造形にはある種のパターンがある。身長の高い低い、身体の太い細いのバリエーションで脇役の幅を確保しつつ、主人公には一般的な体型を選ぶのが無難だ。無難だが!そういった約束事をぶっちぎった上で、どういう構図・見せ方が採られていくかは、演出面での見どころの1つだろう。原作の1巻と比べると分かりやすいが、アニメ版では身長の低さがより目立つ画作りになっている。やる気満々、という訳だ(笑)。

<エンディングについて>
 歌が『宇宙鉄人キョーダイン』なのも凄いけど、ここで注目したいのは、「カラオケボックス」というシチュエーション。
 庵野秀明監督が、『彼氏彼女の事情』本編において、『妖怪人間ベム』の歌を挿入した際に採った手段を思い出して欲しい。そう、同じなんですね。山本寛監督は、パロディのパロディ、オマージュのオマージュのような、重層的な遊びを仕掛けてくるタイプと僕は見ています。そのスタンスからすると、これも先行する「遊び」の発展形に見える。

 蛇足ながら、「有りか、無しか」で言えば、演出ファン的には「有り」です。気づくか気づかないかの速度でジワッと引くカメラの動きに、正統的なエンディングのニュアンスがビリビリと伝わってくる。観ていて気持ちが良い。

 あと、これは予想であり期待だけど、「やっぱ、最初はこれでしょ」というセリフが、「毎週、別の歌を使う用意がある」という意味だと嬉しいなぁ。(もちろん、画面は毎回同じドアの絵で)

<オープニングについて>
 忙しいので、省略。後日書くかも。

らき☆すた OP主題歌 らき☆すた OP主題歌
TVサントラ


Amazonで詳しく見る by G-Tools

この記事のURL:http://xn--owt429bnip.net/2007/04/rakisuta1.php

トラックバックURI:http://xn--owt429bnip.net/2007/04/rakisuta1.php/trackback

コメント (このコメント欄の RSS フィード

  1. 逆光のカットは初めて窓側が見れる!と思ってたので驚きました。
    声聴きながら観てなく内容分からなかったのでBGが間に合ってないのかと思いました。

    コメント by remu — 2007年4月18日 水曜日 @ 9:00

  2. 小学生は今、ハルヒ→シャナ→ひぐらしときて「らき☆すた」に進行中!

    コメント by kuchiha — 2007年8月13日 月曜日 @ 18:57

コメントをどうぞ

改行と段落タグは自動で挿入されます。メールアドレスは表示されません。利用可能な HTML タグ: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

(必須)

(必須)


トラックバック & ピンバック

  1. 話題になると作り手の技が発見されやすくなる。
    ■話題になると真剣に鑑賞してくれる人が増えて、良さを具体的に説明してくれる人が増えて余計に広まる。

     要するに作り手を信仰してくれてる人が多いと、瑣末な技術まで言及してくれるんだよね。相手の演出に絶対に技巧あるって信用されてるから細かいところまで目を向けてくれる。
     ようするに信じてる人は細かいところまでいちいち見てくれるから。作り手冥利に尽きるよな。入れた技術をいちいち他人が解き明かしてくれるんだから。読み手と作り手が通じ合ってるわけだ。あー嫉妬するねぇ。
     
     同じように技術を仕込んでも、注目度が低い時って気がついてもらえなかったりするんだろうなあ。

    トラックバック by モノーキー — 2007年4月17日 火曜日 @ 12:53

  2. 「らき☆すた」3話 いろいろな人たち

    こちらのサイト
    幻視球『らき☆すた』#1
    で書かれてたのを読んでオタクであるということでどこかで疎外感を持っているだろうこなたにとってかがみのみが気が合う友達だという認識があるんだということに気がついた。  (more…)

    トラックバック by 蒼碧白闇 — 2007年4月27日 金曜日 @ 13:13

  3. らき☆すた ≡ω≡.part168

    175 :風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2007/07/02(月) 04:53:24 ID:i8dIbS9e
    http://xn--owt429bnip.net/2007/04/rakisuta1.php

    1話評価してる奴はこういうこと言ってるのか?

    当時友達にこのページ見せられてないわwwwwwwwwwwって思った
    そんで実際に1話見てこれはヒドイ!って思って、ついでだから
    2話も見て(ry

    186 :風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2007/07/02(月) 04:57:04 ID:uqytZpHe
    >>175
    これも馬鹿馬鹿しいっちゃ馬鹿馬鹿しいけど
    ただ1話の頃は萌えアニメなのにどこかストイックでフィルムに緊張感があったから好きだったな、あくまで好みだけど

    191 :風の谷の名無しさん@実況は実況板で:2007/07/02(月) 04:58:32 ID:k46nVqvb
    >>186
    なんかわかる
    ただ、つまらんかったけどw

    トラックバック by アニメ@2ch掲示板 — 2007年7月2日 月曜日 @ 9:23

  4. [アニメ] らき☆すたアンチスレ part16

    964 名前:風の谷の名無しさん@実況は実況板で[sage] 投稿日:2007/07/09(月) 22:19:40 ID:fCax7V8K
    ttp://xn--owt429bnip.net/wp-content/uploads/070413b.jpg
    ttp://xn--owt429bnip.net/2007/04/rakisuta1.php
    >「演出家は、どうもここが第1話の肝だと考えているようだ」と想像できる。
    >では、この場面の何が重要なのか?
    >「主人公の価値観が、初めてクラスメートに通じた瞬間」が描かれたこと、
    >これ以外に無いでしょう。主人公が、自分と同じ「チョココロネの見方」をする人を見つけた場面なんですね(*2)。

    >「何だ、そんなことか」と呆れる無かれ。これは、それまで数十分間に渡って描かれてきた、
    >会話劇の正体が明かされる瞬間でもあるのです。第1話の、セリフの絶えない会話の応酬において、
    >主人公の気持ち(価値観)がただの一度も他人に共有されていなかったということに…。

    >例えば、『げんしけん』のサークルメンバーのように、仲間全員が同じ方向性の価値観を持ち、
    >「あ、分かる分かる、こうだよね」「そうだよね」と同意を積み重ねていくタイプの会話ではなかった、
    >ということです。描かれたのは、それぞれが違うスタンスに立ち、常に結論がすれ違いながら
    >続いていく会話。「会話の間をもたせる」という点で、どちらがより困難であるかを想像すると、
    >脚本・演出の見所が分かるだろう。

    ヤマカン退出後も印象的なカット割りは色々とあるが、
    どうもストーリーの要所に意図的に選んで入れてるのではなく
    単一に挟んでみてるだけに見える。
    この数日のヤマカン抜きのらき☆すたの惨状を見る限りでは
    ハルヒ2はもうだめかもしれない。

    965 名前:風の谷の名無しさん@実況は実況板で[sage] 投稿日:2007/07/09(月) 22:22:00 ID:9MVkY9uX
    予言書の解釈並だなw

    966 名前:風の谷の名無しさん@実況は実況板で[sage] 投稿日:2007/07/09(月) 22:24:17 ID:+KaRtdLI
    >>964
    うわぁ…なんて頭でっかちで独りよがりな演出手法

    トラックバック by アニメ@2ch掲示板 — 2007年7月10日 火曜日 @ 9:46

  5. らき☆すた ≡ω≡. part181 …

    179 名前:風の谷の名無しさん@実況は実況板で[ ] 投稿日:2007/07/09(月) 20:44:26 ID:DLSFFn9A
    >>147

    うむ。
    1話での姉とこなたの会話を傍観する
    つかさの阻害レイアウトは象徴的だったな
    このシーンは色々とヤマカンを感じる。

    ttp://xn--owt429bnip.net/wp-content/uploads/070413b.jpg
    ttp://xn--owt429bnip.net/2007/04/rakisuta1.php
    >「演出家は、どうもここが第1話の肝だと考えているようだ」と想像できる。
    >では、この場面の何が重要なのか?
    >「主人公の価値観が、初めてクラスメートに通じた瞬間」が描かれたこと、
    >これ以外に無いでしょう。主人公が、自分と同じ「チョココロネの見方」をする人を見つけた場面なんですね(*2)。

    >「何だ、そんなことか」と呆れる無かれ。これは、それまで数十分間に渡って描かれてきた、
    >会話劇の正体が明かされる瞬間でもあるのです。第1話の、セリフの絶えない会話の応酬において、
    >主人公の気持ち(価値観)がただの一度も他人に共有されていなかったということに…。

    >例えば、『げんしけん』のサークルメンバーのように、仲間全員が同じ方向性の価値観を持ち、
    >「あ、分かる分かる、こうだよね」「そうだよね」と同意を積み重ねていくタイプの会話ではなかった、
    >ということです。描かれたのは、それぞれが違うスタンスに立ち、常に結論がすれ違いながら
    >続いていく会話。「会話の間をもたせる」という点で、どちらがより困難であるかを想像すると、
    >脚本・演出の見所が分かるだろう。

    ヤマカン退社後も色々と派手なカット割りがあったり色々あるが、
    何かストーリーの重要な部分の意図が抜けてきてる感じがする。

    218 名前:風の谷の名無しさん@実況は実況板で[sage] 投稿日:2007/07/09(月) 20:59:47 ID:72UCQ+Uw
    >>179
    そういうヤマカンのこだわりは好きだったんだけど、
    その辺が作業の遅れにつながったんじゃないかなあと思ってる。
    いまさらながらヤマカンを賛辞してる奴が多いけどなんらかの問題があったから
    更迭されたわけで妥協のできない性格かなという印象から考えると
    納期第一のテレビシリーズの監督には向かなかったと。
    劇場版の監督だと真価を発揮しそう。

    武本監督(というか現スタッフ)はヤマカンの広げた風呂敷を畳むのに精一杯で
    本人のやりたいことはできてないと思う。

    245 名前:風の谷の名無しさん@実況は実況板で[sage] 投稿日:2007/07/09(月) 21:07:24 ID:ogYgz+DO
    >>218
    >>179
    その辺の話を読むと(すまん、いま帰宅して裏作業しつつログ片付けつつ14話見直してる)、
    14話でみのもんたの例のクイズ番組のシーンで、少々ぶきっちょというか不自然なカメラアングルが
    柊一家を映し出してる(ズームイン・ズームアウト)のも、ヤマカンのような演出をやろうと頑張ったんだけど
    どーもうまくいかないなーという雰囲気に感じ取れてしまうから不思議だ。

    325 名前:風の谷の名無しさん@実況は実況板で[sage] 投稿日:2007/07/09(月) 21:29:05 ID:fCax7V8K
    >>218
    ヤマカン時に比べて本編も4コマパーツのつぎはぎ羅列になってきたな。
    こうでなくてはいけないという意図ある順番ではなく、
    ただ並べたものになった印象を受ける。

    トラックバック by アニメ@2ch掲示板 — 2007年7月10日 火曜日 @ 9:50

  6. らき☆すた ≡ω≡. part182

    783 名前:風の谷の名無しさん@実況は実況板で[sage] 投稿日:2007/07/10(火) 12:19:58 ID:RsyjJPBh
    >>776
    俺もその予定。イニシャルDライクなあのBGMは惜しいけどな(前にもいったけど
    前に指摘したけど、各キャラのセリフ回しのテンポっていうかセリフが微妙に早くなってて
    進行に急かされてる感じなんだよな。

    特にあの世代の会話ってのは、微妙な間が雰囲気をかもしだすもんだが。
    先日URLが上げられてた分析サイトを見て、再確認した。

    http://xn--owt429bnip.net/2007/04/rakisuta1.php

    795 名前:風の谷の名無しさん@実況は実況板で[sage] 投稿日:2007/07/10(火) 12:28:37 ID:j1eQzt7a
    >>783
    5話もきんぎょのシーンとか間が酷かったな
    あの辺はまだヤマカン部分も残ってたかもしれないけど
    ただ、6話7話のは良かったかも。

    トラックバック by アニメ@2ch掲示板 — 2007年7月11日 水曜日 @ 9:12

Powered by WordPress ME