『サマーウォーズ』感想、大家族の圧力がカズマに萌えさせる

公開初日に観てきました。
◆封切り前は「船」に興奮
封切り前は、場違いな場所にある「漁船」の絵(左図参照)を見て、「“拡張現実”がテーマの、新しいSF戦争映画に違いない!」「電脳空間と現実空間の歪みが!」「リアルとバーチャルの垣根を越えた戦争が!」と、想像が暴走して、勝手にワクワクしていました。
まぁ観れば分りますが、実際は、「船頭多くして船山に登る」のギャグ(一族の大黒柱を失った混乱で、本当に船が山に登っちゃった)。想像とのギャップに映画館で激しく落ち込むという、そんな一人相撲の一幕がありました。
全編を観終えての感想は、次の通り。
◆初めの感想
おばさん「やーねー、カズマは女の子よ」
主人公 「えー!?」
…という古典的な展開を予想していたら、そのまま終了してビックリしました。鑑賞後パンフレットを読めば、カズマのプロフィールにはしっかり「長男」と書いてある。これでは、僕が男の子に萌えてたことになってしまうじゃないか!参ったなぁ…と困りつつ、これだけフックの多い映画を観終えて、開口一番なぜそんな感想が出てきたのか、自問自答してみた。
主人公と同じ歳の頃、僕はお正月恒例の親戚の集まりが苦手で、「お年玉いらないから、一族郎党、謎の奇病で全滅しないかな…」くらいの酷いことを考えていました。『サマーウォーズ』を観て、十数年ぶりにその時の憂鬱な気分を思い出した。監督の思うがまま、ギャグに笑わされたり、悲しい場面ではもらい泣きさせられたりしつつ、基本的には酷く居心地の悪い映画だったのです。
そんな恐ろしいオーラに包まれた映画にアクセスする手段として、主人公に感情移入できれば越したことは無い。しかし、言うに事欠いて「家族が少ないので、こういうの楽しかったです」だって?無い無い無い無い。君とは分かり合えない。ヒロインも、自分勝手な人っぽくて、取っつきにくい。
そこでカズマ。親戚の輪から外れ、暗い部屋でPCに向かう姿。「君は向こうにいかないの?」と問われて、鬱陶しそうな顔。あー分かる、その気持ち。というか、たくさん人が出てくるが、君の気持ちしか分からない…。となれば、そこを鑑賞の足がかりとするのは当然。しかも、しぐさが可愛い。これは勢いあまって萌えてしまうのも仕方がない、仕方がない。
◆大人数アニメの系譜
「妹が12人!?」→「クラスの女子が31人!?」→「大家族が27人!?」、の流れも頭に浮かんだ。(『シスタープリンセス』→『ネギま!?』→『サマーウォーズ』)
当時、「ヒロインが12人(もしくは31人)も居れば、どれか引っかかるでしょう」と言われたものだけど、同様の理屈で「大家族が27人も居れば、どれか引っかかるでしょう」な作りなのかなと。老若男女、幅広い層が、自分に近い立場のキャラを見つけて、感情移入できるような仕組みなのかもしれない。例えば、「ネットの描写がよく分らない層」でも、観やすいように。「親戚の集まりが嫌いな人」でも楽しめるように。
(余談だけど、『シスタープリンセス』の大畑清隆監督は、細田守監督と因縁浅からぬ関係にあり、(現在の知名度の差からは想像するのも難しいけど)二人が頭角を現したばかりの頃、一部では並べて語られていた。)
◆あと印象に残ったこと、思ったことを箇条書きに。
・おばあちゃんのセリフに、ムズムズする
・いちいち、「勝ち」の要因をネットの外に見いだす(計算は紙に書く、花札、マーシャルアーツ)
・AIの責任の所在。
・大人も参加する戦いでありながら、子供を守る立場の親たちが最前線に立てない仕組みになっている。このバランスは上手いと思った。社会人のコネとパワーで、過剰なバックアップは与えるわけだけど、OZというフィールドでは、子供達にかなわない。
・初期作品の特徴だった「監視カメラ構図」が消えた?
・「細田守監督には、30分以上の長さの作品を撮らせるべきでない」と感じていたが、今回も同様。演出家としては、TVの各話演出か短編映画の尺がベストなのでは…。
・よその感想でチラホラみかける「ドリーショット」と「水の描写」については、3年前に同人誌で書いたので、機会があったら読んでください。
・カズマのHN「キングカズマ」は、ゲイナーのHN「キングゲイナー」を連想した。どちらもゲームチャンプな設定。
・「カズマは本当は女の子なのだが、旧家のしきたりで「長男」として育てられた。その特殊な境遇により、いじめられた時期もあったものの、格闘技を習って克服した」と考えれば、いろいろ辻褄が合う(<うるさい)。






はじめまして。サマーウォーズの評を見ていると、皆カズマ萌えになっているような錯覚を覚えます。巡回ルートをもう一度見直す必用がありそうです。
>「カズマは本当は女の子なのだが、旧家のしきたりで「長男」として育てられた。その特殊な境遇により、いじめられた時期もあったものの、格闘技を習って克服した」と考えれば、いろいろ辻褄が合う(<うるさい)。
ジョースター卿曰く「逆に考えるんだ、男の子でよかったと」
カズマの親戚の集まりに於ける独自の行動スタイルは、市庁舎の一部のお宅に向けたサービスなのではと私は思っています。
勿論私もカズマと同じ事をしていたのですが何か?
たぶん細田監督も、カズマと同じような事をやっていたのではないかと勝手に想像しています。
それ故そうしたカズマの行動がリアルなのだと思います。
コメント by tyokorata — 2009年8月10日 月曜日 @ 20:02
監督の少年時代を反映したキャラだったら良いですね。「どうせ、お前らこういうのが好きなんだろう」的に作ったキャラに踊らされていたのだとしたら、いろいろ辛すぎるので…(笑)。
コメント by bono — 2009年8月12日 水曜日 @ 21:33